
今回は、令和8年熊本地震で被害を受けた熊本県美里町のお宅で、屋根の復旧工事を行いました。
美里町は今回の地震の震源地に近い地域ということもあり、こちらのお宅でも屋根にかなり大きな影響が出ていました。
築年数の経ったお宅で、屋根にはセメント瓦が使われています。
現場に上がってみると、瓦が何枚かズレたという程度ではなく、広い範囲で瓦の並びが崩れ、あちこちで浮いたり重なったりしている状態でした。
写真を見ても、地震の揺れで屋根全体が大きく動いたことが分かります。
下から突き上げられたような瓦のズレ
今回の屋根を見て最初に感じたのは、横方向にズレただけではなく、下から突き上げられたように瓦が動いていたことです。
地震の瞬間に屋根全体が大きく揺さぶられ、瓦同士のかみ合わせが外れたのではないかと思われます。
瓦が斜めになったり、重なり方が変わったり、一部では列そのものが崩れていました。
こうなると、見た目を整えるために数枚だけ動かして終わり、というわけにはいきません。
一度瓦をめくりながら、
「どこまで動いているのか」
「下地に傷みが出ていないか」
「もう一度使える瓦はどれか」
を確認していきました。
古いセメント瓦だからこそ、できるだけ大事に使います

こちらのお宅のセメント瓦は、長い年月を屋根の上で頑張ってきた瓦です。
現在では同じ形の瓦が簡単に手に入らない場合もあります。
そのため、地震で動いたからといって全部処分するのではなく、一枚ずつ状態を見ながら使える瓦を選びました。
割れているものや傷みが大きいものは除きますが、まだ十分使えるものはそのまま活かします。
今回の工事では、屋根のかなり広い範囲を一度めくり、瓦の並びを整え直しながらセメント瓦を葺き直しました。
新しい屋根に交換する工事とは違い、今ある材料をもう一度きれいに納め直す工事です。
手間はかかりますが、その家に合った復旧方法だと思います。
瓦をめくると、普段見えないところも確認できます

写真では、瓦を外して屋根の下地が大きく見えているところがあります。
瓦屋根は、普段は瓦しか見えません。
ですが、地震でこれだけ大きく瓦が動いている場合は、その下がどうなっているかも大切です。
瓦を一度めくることで、瓦桟や下地の状態も確認することができます。
築年数が経っている屋根の場合、
「瓦はまだ大丈夫だけど、その下はどうだろう」
というところもあります。
今回もただ瓦を並べ直すだけではなく、下地を確認しながら葺き戻すという形で作業を進めました。
広い屋根なので、みんなで手分けして復旧
今回の屋根は面積もあり、地震で動いている範囲も広かったため、複数の職人で作業しました。
瓦を外す人、状態を見る人、使える瓦を分ける人、葺き直していく人。
それぞれが手分けしながら進めていきます。
写真でも屋根のいろいろな場所に職人が分かれて作業している様子が分かります。
こういう現場では、一人で少しずつ進めるより、みんなで状況を共有しながら進めたほうが屋根全体のズレも確認しやすくなります。
一列ずつ瓦の位置を合わせながら、元の屋根の形へ戻していきました。
古い家だから、全部新しくするとは限りません
築年数の古い家で地震の被害が出ると、
「もう屋根全部を新しくしないとダメかな」
と思われるかもしれません。
もちろん、屋根の状態によっては葺き替えが必要になることもあります。
ですが今回のように、瓦そのものがまだ使える場合は、葺き直すという方法もあります。
屋根を全部新しくするより工事の範囲を抑えることができますし、今までの家の雰囲気を残すこともできます。
大切なのは、新しくするか古いものを残すかではなく、実際の屋根を見て判断することです。
地震後の瓦のズレは、少し離れた場所からも確認してみてください
今回のように大きく乱れている場合は分かりやすいですが、地震後の瓦のズレは下から見ると気づかないこともあります。
屋根の列が以前より波打っている。
瓦が少し浮いている。
棟の近くに不自然な隙間がある。
そんな変化があれば、瓦が動いている可能性があります。
特に美里町周辺では今回の地震による揺れも大きかったため、見た目に大きな被害がなくても一度確認しておくと安心です。
今回の現場も、瓦を一枚一枚確認しながら葺き直し、無事に復旧することができました。
長く住んできた家だからこそ、使えるものは活かしながら、これからも住める屋根へ。
そんなことを考えながら、今回も工事をさせていただきました。









